![]() | 里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21) (2013/09/25) 藻谷 浩介、NHK広島取材班 他 商品詳細を見る |
2014年の新書大賞を受賞した作品である。企画倒れが多い最近の新書にあって、実に読み応えのある書籍なのである。
最後までヘタレル事なく読者を引きつける面白い一冊であった。「マネー資本主義」に対峙する造語としての「里山資本主義」が、この作品には登場するのである。
過疎の村を一国とみなし貿易収支を考えた際に、赤字に転落する要因として大きい項目が「マネー資本主義」側から調達するエネルギーや食料品なのである。
ならば里山の資源や里山に住む人的資源を使って自前で解決し、それら支出を抑えれば山里であっても豊かな生活が出来るのないかという発想が「里山資本主義」の根底にあるのである。(たぶん)
雑木林の小枝をエコストーブで利用し暖房や煮炊き用のエネルギーとして活用する。自給自足出来る米や野菜は自分達で耕作し消費する。
必要最低限のモノはマネー資本主義側からは調達するが、これら「里山資本主義」の行動によりインカムの増加が期待出来なくとも、豊かな生活が送れるというロジックである。
「ローマ法王に米を食べさせた男」もそうであるが、「里山資本主義」を読むと人々の可能性と人が繋がる素晴らしさに感動を覚えるのである。
青春18キップを使った往復14時間の電車旅の間に本を読み終えるのである。そして目頭が熱くなる瞬間が何度か訪れるのである。
夏休みの課題図書である二冊の本を読み終え、いつの日か我が故郷の喜多方で「里山資本主義」を実践してみたいなーと思うのであった。
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